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title: パスキーの署名は、証拠として何になるか
lede: パスキーの署名が、日本・EU・英国・米国で証拠として何に当たりうるかを、署名の記録が持つものと持たないものから整理します。足りない部分を何で埋めるかも並べます。
shelf: essays
desk: legal
edition: 1
source: 民事訴訟法 第228条 | https://laws.e-gov.go.jp/law/408AC0000000109 | 2026-10-10
source: 電子署名及び認証業務に関する法律 第2条・第3条 | https://laws.e-gov.go.jp/law/412AC0000000102 | 2026-10-10
source: デジタル庁・法務省 利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A（電子署名法第3条関係、2024年1月9日一部改定） | https://www.digital.go.jp/assets/contents/node/basic_page/field_ref_resources/517ca59b-6ea4-4179-a338-8d1b51a4d40b/4ae659c2/20240109_digitalsign_qa_01.pdf | 2026-10-10
source: Regulation (EU) No 910/2014（eIDAS）第25条・第26条 | https://eur-lex.europa.eu/eli/reg/2014/910/oj | 2026-10-10
source: Electronic Communications Act 2000 第7条 | https://www.legislation.gov.uk/ukpga/2000/7/section/7 | 2026-10-10
source: Law Commission, Electronic execution of documents | https://www.lawcom.gov.uk/project/electronic-execution-of-documents/ | 2026-10-10
source: 15 U.S.C. §7001（ESIGN） | https://uscode.house.gov/view.xhtml?req=granuleid:USC-prelim-title15-section7001&num=0&edition=prelim | 2026-10-10
source: W3C Web Authentication Level 3 | https://www.w3.org/TR/webauthn-3/ | 2026-10-10
source: RFC 3161 Internet X.509 Public Key Infrastructure Time-Stamp Protocol | https://www.rfc-editor.org/rfc/rfc3161 | 2026-10-10
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## 署名の記録が持つもの、持たないもの

パスキーの署名は、利用者の端末にある秘密鍵で行います。鍵は端末の外に出ず、署名のたびに、端末で顔・指紋・PIN のいずれかの確認を経ます[^8]。Clavis では、署名の対象は操作の内容のハッシュで、利用者が読んだ一行（プロダクト名・確認済みのホスト・操作名）も署名に含まれます。

| 持つもの | 持たないもの |
|---|---|
| ある Passkey が、ある内容のハッシュに署名したこと | 署名した人の法的な身元（氏名や公的な身分証） |
| 署名の前に利用者に見せた一行 | 操作名と、ハッシュの元の内容が正しく対応していること（プロダクトが負う） |
| 署名の時刻 | 署名した端末がどれか（同期される Passkey は、複数の端末で使えます） |
| 署名のあとに内容が変わっていないこと | 内容が正しいこと |

署名を確かめるには、その Passkey の公開鍵が要ります。公開鍵は、Clavis が登録として持っています。

以下は、この「持つもの」が、各法域で証拠として何に当たりうるかの整理です。

## 日本

民事訴訟法は、文書の成立が真正であることを証明しなければならないとしたうえで、本人の署名か押印がある私文書は真正に成立したものと推定します[^1]。

電子署名法は、電子署名を、その情報を作った者を示し、改変の有無を確かめられる措置と定めます[^2]。パスキーの署名とハッシュの束縛は、この二つの形に近い措置です。

そのうえで、電子署名法は、本人による電子署名があるとき、電磁的記録は真正に成立したものと推定します。ただし、その電子署名を行うために必要な符号と物件を適正に管理することで、本人だけが行えるものに限ります[^2]。

政府の Q&A は、この推定のために、他人が容易に同じ符号を作れないこと（固有性）と、本人の意思に基づいて行われたことが要るとしています[^3]。Q&A が扱うのは、事業者の署名鍵で署名する電子契約サービスで、利用者の当人認証と事業者の内部の処理の両方に十分な固有性を求めています。例として、2 要素での認証を挙げています[^3]。

パスキーは、利用者の端末にある鍵と、端末での本人の確認の二つを使います。固有性の点では強い性質を持ちます。一方で、同期される Passkey や、家族で端末を共有する場合は、「本人だけが」の点が争われえます。パスキーの署名にこの推定が及ぶかは、一次資料では決まっていません。最後に判断するのは裁判所です。

## EU

eIDAS 規則は、電子的であること、または適格電子署名の要件を満たさないことだけを理由に、電子署名の法的効果と証拠としての扱いを拒んではならないとしています[^4]。

そのうえで、高度電子署名に四つの要件を置いています。署名者と一意に結び付くこと、署名者を特定できること、署名者が高い確度で単独で管理する作成データで作ること、後からの改変を検出できることです[^4]。

後からの改変の検出は、ハッシュの束縛で満たしうる部分です。署名者との結び付きと特定は、身元の確認と組み合わせて考える部分です。単独での管理は、同期される Passkey で争点になりえます。適格電子署名は、適格なトラストサービスと署名作成装置を前提にしたもので、パスキーの署名はこれに当たりません。

## 英国

電子署名は、通信やデータの真正性や完全性についての証拠として認められます[^5]。法律委員会は、電子署名で文書を締結できるとの整理を示しています[^6]。身元と改変の検出の考え方は、EU と同じ形です。

## 米国

ESIGN 法は、電子的であることだけを理由に、署名や契約の効力を否定してはならないとしています[^7]。

ただし、法令が消費者に書面での提供を求めている情報を電子で済ませるには、消費者の事前の明示の同意など、別の手続が要ります[^7]。パスキーの署名は、この手続の代わりにはなりません。記録は、保存して正確に再現できる形であることも求められます[^7]。

## 足りない部分を埋めるもの

1. **身元**。その Passkey を登録したのが誰かは、自社のサービスの身元確認で結び付けます。署名する内容に、身元確認の結果の参照（どの方法で、いつ確かめたか）を含めると、署名がそれも束縛します。本人の情報そのものは含めません。
2. **書面の要件**。書面が求められる場面では、電子で済ませるための手続を、署名とは別に置きます。
3. **保存**。署名の記録と、署名した内容（ハッシュの元）を、再現できる形で保存します。内容が失われると、ハッシュだけでは何に署名したかを示せません。
4. **時刻**。台帳に記録を積み、第三者の時刻（タイムスタンプ）を付けると、その時点で記録が存在したことを示しやすくなります[^9]。
5. **同期される Passkey**。認証器は、その鍵がバックアップの対象になりうるかを知らせます[^8]。記録に残すか、受け入れる Passkey を絞るかを決めます。

## 一文で言うと

> パスキーの署名は、その Passkey がこの内容に、この時点で署名したことを、あとから確かめられる記録です。署名した人が誰か、その内容が法令の書面の要件を満たすかは、自社の手続（身元確認、同意、保存）で決まります。

## 次の一手

- [確認画面の文言と、署名の対象は別のもの](/ja/notes/shown-and-signed)
- [署名の手順](https://docs.clavis.nexus/signature)：依頼の登録から結果の受け取りまで
